妻を帽子とまちがえた男
オリバー・サックス著
『レナードの朝』の原作者
脳神経が支障をきたしたとき、奇妙な症状が現れる。
妻を帽子とまちがえてかぶろうとしたり、
「左」という概念がまったくなく、自分の体の左半分を
左半分として認識できない。そのため、化粧をするのは
顔の右半分である。
こうした症状をかかえて生活するのは非常に大きな苦労を伴う。
妻を帽子とまちがえた男は、音楽学校の先生だった。
対象物を対象物として認識できないという視覚障害をわずらってしまった。
ただ、歌を歌いながらであれば、日常生活の作業は可能だった。
患者が、この症状について忠告があったら言ってほしいと
著者に告げる。
しかし、著者は、どこが悪いのかはいえないが、良いところは言える。
これまでは音楽は生活の中心だったが、これからは生活のすべてというふうにして良いと思う。
と助言する。
欠点を欠点とせず、個性ととらえている。
自分では欠点と思っていたところも、見方を変えれば長所となりうる。